ペンタトニック七変化

身近でありながら、なかなかの奥深さを持つペンタトニックスケール。 ロックではストレートで骨太な顔を持ちながら、ジャズではアウト手法としての含みを持つ顔立ち、そして演歌では大輪の花のような笑顔…さながら七変化ですね。 「ヨナヌキ音階」とも呼ばれるペンタトニック。メジャースケールから4番目と7番目を抜いている形です。マイナーペンタトニックは主音を置き換えているだけで、同じ内訳になるので「ヨナヌキ」ではなく「2・6ヌキ」ですが。 という説明が一般的ではありますが、そもそもペンタトニックの発祥は「メジャースケールから音を抜いた」わけではなく、スコットランド民謡や中国の音楽で使われていた「それ自体が音階」でした。機能和声的な「コーダル」な素材ではなく、旋律主体の「モーダル」なものです。それが、西洋音楽においても非常に興味深い材料になったので、西洋音楽の中では「メジャースケールから音を抜いた音階」として説明されています。 西洋音楽の中で「面白い素材」になり得た要因は「半音階を持たない」ことです。半音階を持たない、とは「解決欲求を持つ音がない」ということです。

「スイングは2・4で取る…のかな???」

スイングにおける「拍の取りかた」について考えてみましょう。 「ジャズ(スイング)は2拍4拍でリズムを取る」…というようなレクチャーが聞こえてくることがありますが…それはどうかな、と思います。 速いテンポに対応することを考えると、スイングを2・4で感じ取るのは得策ではありません。 スイングでのテンポが240あたりを超えてくると、拍をまとめて取るほうが演奏しやすく、かつ、フレージングにも音楽的な連結をつけやすくなります。2拍分を1拍に取ったり、4拍分を1拍に取ったり、ということです。 しかし、2・4で取る習慣をつけてしまうと「1小節は4拍」の感覚から抜け出しにくいため、拍をまとめて取ることが困難になります。 「拍を取る」といっても、ことさらに身体を動かして数えるわけではなく、あくまで「パルスの置きどころを意識する」わけですが、ここで重要になるのは、その中の細分化(フィール)はしっかりと自分の中に持てるように、別枠の練習として鍛える必要がある、ということです。例えば8分音符のフレージングをするとして「2拍分で1拍」の取りかたをすれば、その細分化は4分割

「マイナーキーの正体」その9

前回までのあらすじ 旋律素材としてのハーモニックマイナースケールを検討してみました。 さて、旋律のみでマイナーキーを示すとすれば…が今回のミッションです。 次のメロディーを見てみましょう。 メロディーだけを聴いたら、多数決的にはCメジャーキーに聞こえると思います。しかし、もしコード進行がAマイナーキーならば、そのように聞こえるでしょう。 つまり、このメロディー単体ではAマイナーキーの要素は特にない、ということです。 ではこのメロディーはどうでしょうか。 今度はメロディーだけでも「ラ」が主音に聞こえます。「ラで始まってラで終わっているから」という理由が大きいのですが、それと共に属音である「ミ」の分量が増えていることも一助になっています。属音は主音をクローズアップする働きがあります。 次のメロディーです。 いよいよ真打ち登場、といったところです。 ラに向けての導音「ソ♯」が登場し、かなりの強制力を持って「ラが主音」「Aマイナーキー」という響きがします。 さらに長6度を加えてみましょう。 メロディックマイナー上行形「ファ♯→ソ♯→ラ」の動きが、より明確

「マイナーキーの正体」 その2

前号までのあらすじ マイナーキーを掘り下げると、結論は「マイナーキーのポイントは濃度」…とは。 中世、グレゴリオ聖歌の時代にはメジャーキーやマイナーキーという理論体系はなく、単旋律音楽なので和音という発想もありませんでした。「モーダルメロディー」の時代です。 そののちに、トニック、サブドミナント、ドミナントの分類を主体にした「機能和声」が確立し、この理論体系を形成するにあたって、最も適した音階がメジャースケールでした。そしてメジャースケールが西洋音楽理論の王様として君臨し、それは数百年経った現在に至るまで揺るがない存在です。 その王様であるメジャースケールの第6音を主音にしてみる…ここからマイナーキー(マイナースケール)が産声をあげます。グレゴリオ聖歌時代のエオリアンモードは既にナチュラルマイナースケールと同様ではありましたが。 このような背景の中でマイナーキーが背負わされた宿命…それは「いかにして平行長調の支配から逃れるか」ということでした。 例えばAマイナーキーの基本音階はAナチュラルマイナースケール。これはCメジャースケールと同じ内訳です。