少しためになるスパイスの話【その13】

少しためになるスパイスの話 第13回「ビッグカルダモン」 日常生活ではまず出会うことのないスパイス。黒く迫力のある見た目に、パンチの効いたスモーキーな香り。皮を取ると中には小さな実が詰まっていて、噛むとミントのような清涼感があります。 しらべのカレーを作るきっかけにもなったビッグカルダモン。独特の燻したような香りが、鰹節の燻した香りを連想させ、お出汁との相性が良いのではと気づかせてくれました。 スパイスからカレーを作ろうと思い立ち、初めてスパイスのお店に行き、見たこともないビッグカルダモンに出会うなり何だこれは⁉と驚きました。いかにも漢方薬のような、アイラ島のスコッチ特有のピート香のような、何とも言えない強烈な香り。好みが分かれそうですが、僕はすごく好きでした。その時は、どのスパイスがどんな役割かも全然分からないまま、レシピに合ったスパイスをベースに購入しました。店員さんに相談しながらおすすめも買おうと思ったのですが、インド人の店員さんは半ば何を言っているのか分からず、ビッグカルダモンはとりあえず買っとけ、これはインドでも高級なスパイスだ、といっ

少しためになるスパイスの話【その12】

少しためになるスパイスの話 第12階 「ジンジャー(生姜)」 ガーリックと同様、僕はジンジャーもスパイスと同じような意識で配合します。カレーはもちろんチャイなどにも使うので、インドではほんとに使う機会が多く、和食でも不可欠な食材です。爽やかで食材の臭みを抑えて癖のある食材もまとめてくれる、大事な役目を担っています。僕は生の生姜しか使いませんが、ジンジャーパウダーという商品もあり、カレー作りでも機会があります。 子供の頃に風邪をひくと、生姜のすりおろしと蜂蜜を混ぜてお湯で割った『生姜湯』を作ってくれて、それが嬉しかった記憶があります。 カレーを作るときは、生姜の火入れと水分の飛ばし方をすごく大切にしています。じっくり焦がさぬように炒めて水分を飛ばします。炒め続けるとフッと香りが変わる瞬間があり、それを炒め終わりの合図にしています。その瞬間が分かると、少し嬉しくなります。 しらべのカレーは和をテーマに作っているので、紅ショウガやガリも良く合います。商品化はしていませんが、生姜を主役にしたカレーを試作したこともありました。ガーリックを少なめにしてジンジ

少しためになるスパイスの話【その11】

少しためになるスパイスの話 第11回 「ガーリック(にんにく)」 先日二郎系ラーメンを食べた話を聞いて食べたくなったので、今日はガーリック、にんにくについてお話ししたいと思います。もちろん僕はにんにくマシマシです。 カレーではガーリックもスパイスのような位置づけで考えてブレンドします。生はもちろん、カレーによってはパウダーも使います。匂いを気にすると、なかなか思いのままに食べることができない食材ですが、そのポテンシャルは本当にすごいです。パンチが強く自己主張してきますが、まわりの食材ともがっちり組んで引き立てる。炒めるとなんとも言えない良い香り、味に深みやコクがでて、食欲をそそります。魔力のような力があります。 ガーリックは、量の増減だけでなく火入れのタイミング、切り方やおろし方を変えるだけでも味が変わります。影響力が大きいが故に、使い方には注意しなければなりません。入れすぎるとガーリックに支配されてしまいますし、具との組み合わせによっても使う量が変わってきます。月並みですが、醤油とにんにくとお肉、この組み合わせがものすごく好きです。もつ鍋、ラー

少しためになるスパイスの話【その10】

少しためになるスパイスの話 第10回「クローブ」 少し甘めで強い香り。アジアはもちろん、欧米でもよく使われるクローブ。丁子の名で漢方でも使われます。 ホールをテンパリングしてつくるカレーレシピはとても多いです。重宝されてます。料理や漢方以外でもよく使われます。例えば歯みがき粉はクローブの香りを感じます。特にサン○ターの、いちばんメジャーな○○Mは、個人的にクローブがいちばん強い商品ではないかと思います。もし使う機会があれば、ぜひ意識してみてください。 昔、なかなか予約が取れないというレストランに食べにいく機会がありました。その日のコースのひと皿で、まるまる1個の玉ねぎにピックで穴を開けて、そこにクローブを刺す。何ヶ所もクローブを刺した玉ねぎを、じっくりオープンで焼き上げただけのひと皿。見た目は決して良いとは言えませんが、玉ねぎの甘みとクローブのさわやかな香りがマッチして、なんとも言えない美味しさでした。僕がクローブを意識した料理はそれが初めてだったと思います。 野菜やお肉などの甘味とクローブの香りは相性が良いかなと思います。しかし、クローブなどホ

少しためになるスパイスの話【その9】

少しためになるスパイスの話 第9回「クミン」 カレーらしい香りのクミン。アジア圏だけでなく、様々な国で使われていて、僕もカレーを作る以前から使う機会のあるスパイスでした。今でもカレーを作るときにはメインとなるスパイスで、使う量も1番多いです。 クミンシードを油でテンパリングして、カレーの仕上げにジュッとかけると、香ばしい香りがフワッとたち、コクがでてなんとも言えない美味しさになります。ただし、クミンはすごく焦げやすいので注意。焦げると苦味だけが残り美味しくないです。加熱した油に入れて、明るい茶色くらいまで色が変わったら充分です。時間にすると30秒くらいでしょうか。 野菜カレーはクミンとコリアンダーだけですごく美味しく作れます。僕が初めてスパイスから作ったカレーは、野菜カレーでした。簡単に作れるレシピで、トマトとクミンがほんとに良く合い、美味しかったです。自分でこんな本格的な味を出せるのかと驚き、感動しました。思い返してみると、そのカレー作りから今に繋がっているんだなと感慨深いです。 このクミン、個人的には醤油との相性がいいと思います。醤油にクミン

少しためになるスパイスの話【その8】

少しためになるスパイスの話 第8回「唐辛子」 辛味の強いものや穏やかなもの、大きさや形、色もさまざま。日本では「鷹の爪」や「ししとう」、アジア圏の「カイエンペッパー」、「レッドチリ」、「ジョロキア」、「ハラペーニョ」、、、ひと口に唐辛子といってもたくさん種類があり、各国の料理に何かしら必ず使われてるので、根付き方がすごいなぁと感心します。 カレーと言ったら「辛い」と連想し、その辛味をつくる1番重要なスパイスで、もちろん僕もほぼ必ず使いますが、入れすぎると他の味を消してしまうので、分量には気を配ります。 辛味の種類が違う胡椒とうまく組み合わせると、奥深い辛味が作れて嬉しくなります。 おうちのカレーを辛くしたいときは、唐辛子と胡椒でバランスをとってみてください。ちなみに、ギャバンやS&Bなどから販売されている[チリペッパー]という商品は、唐辛子をベースに胡椒やガーリック、ハーブなどブレンドされてるので使いやすいです。でも辛味は控えめなので、ガツンと辛味出したいときには不向きです。 僕は、唐辛子の辛味より香りを大事にしています。オイルでテンパリングした

少しためになるスパイスの話【寄り道3】

少しためになるスパイスの話「寄り道3」 <とろりの話> オープンまであと2ヶ月と迫った頃でも、僕は試作に追われていました。さらさら食べれる「さらり」、とろっと濃厚な「とろり」、ふたつのカレーからスタートするコンセプトは決めていました。さらりの味が決まったあとも、とろりの味になかなか納得出来ず、あーでもないこーでもないと試作を重ね、煮え切らない思いに悶々としていました。中途半端に良いものが出来ていたので、方向性を変えずに昇華していこう、できるはずと、今考えると固執しすぎてしていました。ある程度出来たものを全て壊して、いちからやり直すという決断がなかなか出来ませんでした。 僕は、大根とスパイスの組み合わせが大好きで、とろりは必ず大根を使いたいと考えてました。大根はスパイスカレーによく登場する具材で、試作品にも使っていましたが、その時は賽の目切りで食べやすく、食感を残した火入れをしていました。 鰹出汁の風味と、鶏の小間切れと大根、スパイスが相まって、すごく好きな味だったんですが、商品としてのインパクトが足りないなと感じていました。和の料理や食材をスパイ

少しためになるスパイスの話【寄り道2】

少しためになるスパイスの話【寄り道2】 <さらりの話> ある日、試作で作りすぎたキーマをどうやって食べようかと考えてました。ずっと試作と試食を繰り返していた僕は、重たくなくさらさらいきたいな、出汁をかけて食べちゃおう、というきっかけから、さらりが始まりました。 それまでは、キーマカレーは少し汁気のあるタイプで販売しようと考えていました。鰹の風味を生かしたいわゆる『和出汁キーマ』でした。しかし今ひとつ突き抜ける力を感じず、他にない味とも言えず、苦労していたところでした。 お出汁をかけるので汁気がない方がいいなと思い、カレーを炒めて水分を飛ばしてみました。これが含め煮のようにうま味を閉じ込める効果があったようです。ドライキーマのようになったカレーをご飯に乗せて、出汁をかけて食べてみました。ほんとに何気なく、深く考えずに。妻も食べたいと言うことで、2人で食べました。 すると、ひと口目から2人で「うまっ」と声がでました。うま味の重なり方が無理なく、お出汁の香りが更に食欲をそそり、スパイスの香りも押し上げてくれてるような、なんとも言えない美味しさがありまし

少しためになるスパイスの話【寄り道1】

少しためになるスパイスの話「寄り道1」 <カレー作りの話> 今回はスパイスの話から少し離れて、僕の、そしてしらべのカレー作りについてお伝えしていこうと思います。 小さい頃からカレーが大好きで、一番好きな食べ物は?と聞かれたら、迷いなくカレーと答えてました。学校帰りに家が近づくとその日の献立がなんとなくわかる、という特技がありました。中でもカレーの日は、ずいぶん遠くから気配を感じてました。そうなると果たして自分の家からの香りなのか、他の家の香りを嗅いでたまたまカブってたのか分かりませんが、なぜか良く当たりました。戌年だし鼻が良くきくねという、よく分からない評をもらってました。 そんなカレー好きが大人になり、食べて美味しかったカレーを真似して作り始めるようになります。鼻がきくと持て囃されてきた僕は嗅覚に頼り、食べながらカレーに鼻を近づけ、クンクン香りを嗅ぎ、何が入ってるんだろうと常に研究してました。決してお行儀よろしくない行為で、はたから見ると変な人だと思われたかもしれません。 食べること自体が好きですが、いつからか食べながら研究する癖がつきました。

冷やしカリーの販売終了と秋カリーの販売開始について

こんにちは。和とcurry しらべです。 夏限定の「ひやし」は2019年9月16日(月)で販売を終了します。また夏限定の自家製ドリンク「スパイスレモンソーダ」も同時に販売を終了します。 鯖をマリネしたスパイシーなカレーをベースに、夏らしい薬味を添え、冷たいお出汁と絞ったすだちをかけて楽しむ味わいは、多くのお客様から好評をいただきました。ただ冷やすだけでなく、冷たいカレーはどうすれば美味しくなるのか、冷たくても香り・味わいを損なわないスパイスは何か、カレーに合うお出汁のブレンドはどうするか、などなどカレーマスターなりに追究した創作カレーでした。 スパイスレモンソーダは夏らしく、カレーと合うようなすっきり爽快なドリンクとして、こちらもご好評を頂戴しました。レギュラーメニューにして欲しいとのありがたいコメントまでお寄せいただき、スタッフ一同、嬉しく思います。 どちらも9月16日(月)までは販売していますので、この夏限定のひやしカリーをぜひこの3連休にお楽しみいただければと思います。 そして秋カリーとして「スパイス炊き込みご飯」に「きのこと和牛のドライカ

少しためになるスパイスの話【その7】

少しためになるスパイスの話 第7回 「カルダモン」 前回紹介したコショウが「スパイスの王様」と呼ばれるのに対し、カルダモンは「スパイスの女王」と呼ばれます。カルダモンの香りは、確かに女性的で甘く爽やか。スパイスの中で最も高価です。大事に大事に使っています。 小豆蔲(ショウズク)という名で漢方にも用いられ、胃に良いとされています。カレーの試作中によくあるのですが、旨味を重ねることに目を向けすぎてちょっと路線を誤ると、ただ重たいカレーになったり、厚みがなく平べったい印象のカレーになってしまうことがあります。そんな時カルダモンを使うと、奥行きあるエスニックな香りがカレーに深みを与えてくれると感じます。 本格的にカレーを作る前から、ずっと好きで通っていたカレー屋さんがあります。オイル少なめのサラサラしたカレーで、鶏出汁のうま味がしっかり効いて、スパイスの香りが複雑に絡んだカレーです。添えられたひよこ豆や玉ねぎのアチャールも美味しく、一皿の完成度が高いです。口に運ぶとき香る爽やかな香りが印象的なのですが、どのスパイスがそうさせているのかわからず、ずっと考え

少しためになるスパイスの話【その6】

~少しためになるスパイスの話~ 第6回「ホワイトペッパー」 スーパーなどで売られているテーブルコショーは、ブラックペッパーとホワイトペッパーがブレンドされています。おそらく、香りを主張させつつ刺激が強すぎないバランスを取るためだと思いますが、日本の食卓の味になじむようホワイトペッパーをブレンドしているのかなとも思います。ホワイトペッパーは、和の味にすごく合うスパイスだと、僕は思います。 ブラックペッパーもホワイトペッパーも、同じコショウの実です。熟す前の実を皮ごと乾燥させたのがブラックペッパー。黒い皮の部分にアタリの強い辛みがあり、ブラックペッパーらしい重厚な香りが特徴です。対してホワイトペッパーは、熟した実を水につけて、浮いた皮をきれいにとって乾燥させます。皮がないので、穏やかで上品な香りです。 前回ブラックペッパーの回でも書きましたが、僕はペッパーフリークです。若いころはブラックペッパーが大好きでしたが、大人になったらホワイトペッパーにすごく魅力を感じます。熟している実だからなのか、ホワイトペッパーはコショウの香りの後に熟成香をすごく感じます