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㉔ 「伝える心」

「花びらが……上手く出来なくて……」 こう言って話し方サロンの生徒さんが差し出されたのが『太巻き祭りずし』でした。 私は「わぁ〜!」と子供のように歓声をあげ、美しい花や可愛いパンダに目を奪われてしまったのです。ですから、その花びらのどの部分が良くないのか、全く分かりませんでした。 それは美しいだけでなく、卵焼きや漬物、海苔などが巻き込まれ、作り手の愛情が伝わって来る美味しさがありました。 『太巻き祭りずし』は江戸時代から千葉の郷土料理として、冠婚葬祭の席で振る舞われ、後世に伝えてゆく活動も行われているのです。 私も子供が幼稚園に通っている時、母親たちを対象に行った太巻き祭りずし教室に参加したことがあります。指導してくださった方の『太巻き祭りずし』は見事にまとまっていて、包丁を入れると一枚の絵画が誕生したのです。一方、未熟な私たちの挑みは美しい絵画にはなりませんでしたが、切る瞬間のわくわくする気持ちは忘れられません。 私に『太巻き祭りずし』を作って下さった生徒さんも、郷土料理の伝統を受け継ぎ、そして次世代に伝えようとしていらっしゃいます。その「伝え

㉓ 「出会い」そして「繋がり」

実に幸せなひとときでした。 先日、「朗読のひととき」第2回を開くことができました。 「Mako’s話し方サロン」の生徒さんを中心にお客様が足を運んで下さったのです。 私のサロンでは、元々のお知り合いやお友達によって成立したクラスだけでなく、サロンで初めて出会ってクラスメイトになったクラスもあります。 その出会いは素敵な化学反応を起こして、温かい繋がりを結んでいます。 その変化を一番嬉しく楽しんでいるのは、私なのかもしれません。 今回の朗読会の後、サロンの参謀である親友から嬉しい言葉を受け取りました。 「去年の朗読会より、会場のお客様同士の交流が感じられて温かい雰囲気だったわね」 これは私が望んでいたことでしたので、欲しかったプレゼントを貰ったような心持ちでした。 私の目指す朗読会とは……ただ畏まって聴いて頂くものではなく、縁あって同じ空間に集まった皆さんと共に作り上げていく有意義なもの……そのように考えているのです。 サロンでは発音練習として歌舞伎の「外郎売り」に取り組んでいます。その一節をお客様と声を合わせて読み上げた時、素敵なハーモニーによっ

⑭「新年会は浅草へ」

私は浅草が大好きです。 雷門をくぐり仲見世通りの活気に包まれ浅草寺にお参りすると、霧がかかっていた心が晴れ渡ってゆくのです。 老舗の扇屋や甘味屋も魅力的ですが、それ以上に私には行きたい店があります。 「ベル」それは、伝説のストリッパー・浅草駒太夫さんが経営しているスナックです。 浅草駒太夫さんは、浅草で行われた「須賀雅子の興味津津」という朗読とインタビューのイベントの初回ゲストでした。 ストリップ劇場に行ったこともない私が、76歳にして現役のストリッパーである駒太夫さんにインタビューするには彼女の事をとことん知らなくてはいけないと思いました。そこで、駒太夫さんの半生を描いた本を入手して読み進めました。 美空ひばりの歌を愛する少女が、青森から家出してきて東京で波乱万丈な人生を歩んでゆく姿に私は圧倒され、読み終わっても体は固まったまま動けませんでした。 「駒太夫さんは、どうしてこんなに強くしなやかに前に進んで行けたのだろうか?」 この本を4回読み返すうちに、駒太夫さんと共に人生を歩んできたような錯覚に陥りました。そして不思議なことに、当初の不安は消え