毛色の違いと性格の関係②~ドーパミン


少し前に書いたブログ『毛色の違いと性格の関係』は、多くの方に興味を持って頂けたようで嬉しく思います。

そこで今日は、その時の内容に少し補足したいと思います。

まず性格に影響を与えていると考えられる遺伝子メラノコルチン1受容体は、毛色の濃淡を決めるのであって、色を決定する遺伝子は別にあります。

つまり茶や黒という毛色自体は、別の遺伝子が関与しています。

そのため『茶色と黒の性格の差』というのは今の所、有力な証明はありません。

あくまでも茶色の中の濃淡(チョコレート色 or イエロー)、または黒色の中の濃淡(真っ黒 or グレー寄り)という差での結果です。

また

「ドーパミンは、幸福感を増すホルモンなのに”人懐こさや他の犬への寛容性、不安の感じやすさ”に差がないのは何故ですか?」

というご質問も頂きました。

一般論ですが、人懐こさや他の犬への寛容性といったものは、コミュニケーション能力に左右されます。

やや荒っぽい言い方をすれば、本人の”幸福感”とは関係なく、社会の一員として暮らしていく能力です。

人や他の犬と関わることが「楽しい!」と感じる個体なら、当然幸福感を感じるでしょうが、家族以外、また特定の犬以外とはあまり関わりたくない犬もいます。

『関わりたくないけど、敵意があるわけじゃないし、争いは起こしたくない』

そう思う犬は意外と多いのではないかと感じることがあります。

また調査対象は、ペットではなく使役犬なので、遺伝的にかなり選抜されています。

そのためコミュニケーション能力や不安の感じやすさについて、有意な差が出なかったと思われます。

ドーパミンは一般に”幸せホルモン”と呼ばれることが多いですが、中枢神経系に存在する神経伝達物質です。

多幸感を増すのは事実ですが、他にも意欲を高めたり、ホルモン調整や運動調整などにも関わっています。

そしてもう一つ、このホルモン量が集中力や活発さに影響を与える理由として、ドーパミンを原料に、アドレナリンやノルアドレナリンが作られていること。

そのドーパミンもまた、作用する酵素によってアドレナリンになるかノルアドレナリンになるかが決まります。

アミノ酸の一種チロシンが、作用する酵素によってメラニンになるか、ドーパミンになるか・・・というのと似ています)

アドレナリンノルアドレナリンも、興奮を促す副腎髄質ホルモンですが、作用の仕方がちょっと違います。

アドレナリンは、心臓の収縮力を強めて心拍数を上げ、血糖値を上げ、代謝全般を上昇させます。

一方ノルアドレナリンは、同じく血圧を上昇させますが、末梢血管を収縮させます。

つまり

アドレナリン⇒心臓から全身に向かう血流を上げる

ノルアドレナリン⇒手足など体の末端からの戻す血流を上げる

どちらにしろ酸素やエネルギー源となるものを素早く全身に配る体勢になります。

つまりこのホルモンは、運動調整力にも大きく関係しています。

身体の隅々にまで素早く酸素やエネルギーが届かなくては、思った通りに動けません。

また運動中の姿勢を調整するには、よく『体幹を鍛える』と言いますが、それは筋肉バランスだけでなく、元をたどれば神経伝達機能を高めることです。

どんなに筋肉量があっても、指示系統が適切に活動しなければ、機敏で巧みな動きはできません。

『鶏が先か、卵が先か』という話と似ていますが、このホルモンの存在があるから、

やる気や意欲が高まる⇒活動量が増える

のか、

活動して酸素やエネルギーが効率良く全身を巡っている⇒意欲が湧いてくる

のか・・・・。

どちらにしろ、原料がなければ始まりません。

チロシンは必須アミノ酸ではないので、他のアミノ酸を原料に体内で合成できます。

この「体内で合成できる」という表現は曲者で、決して「摂らなくて良い」という話ではありません。

未だに時折見かけますが、

「犬はビタミンCを合成できるので、果物だの野菜だの摂らなくていい。果物などは、むしろ糖分の摂りすぎになるから与えない方が良い」

という説。

主食を果物にするならまだしも、適量をおやつや水分補給に与えるのは全く問題ありません。

(注:ただし秋の味覚ブドウは、犬猫にとって害となる成分が含まれている可能性が高いので与えないで下さい)

新鮮な酵素やビタミン・ミネラルを摂取できることを考えたら、犬用ビスケットよりずっと良いでしょう。

まとめ

チロシン

作用する酵素によってドーパミンorメラニン

ドーパミン

作用する酵素によってアドレナリンorノルアドレナリン

チロシンの体内での使い道は多様で、全てがドーパミンやメラニンになるわけではありません。

ただ特に日照の少なくなる季節やシニア期における身心の健康維持には、積極的に摂取することをお薦めします。

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